主婦年金の廃止は本当?決まったこと・未定なことを整理しよう

定年前後に読むと得するコラム

こんにちは!社労士みなみです。

「第3号被保険者が廃止される」「専業主婦の年金がなくなる」

最近、そんな言葉をSNSやニュースで見かけて、ドキッとした方、いませんか?

💬 「え、私の年金、なくなるの?」

💬 「保険料を自分で払わないといけなくなるの?」

💬 「結局、どうなるの?」

気になるけど、難しそうで調べる気にもなれない。そんな方も多いと思います。

この話、いちばん大事なのは、
「もう決まったこと」と、「まだ決まっていないこと」を、きちんと分けて見ることです。

ここを間違えると、必要以上に不安になったり、逆に大事な変化を見落としてしまいます。
そこで今回は、いま確定している情報まだ確定していない情報、そして今後どうなっていきそうなのかを、順番に整理してお伝えします。

1. そもそも「第3号」って何?

まず基本から確認しましょう。

第3号被保険者とは、会社員や公務員(第2号)に扶養されている配偶者で、年収が130万円未満の方が対象です。

この制度のポイントは、自分では保険料を1円も払わなくても、将来、老齢基礎年金を受け取ることができるという点です。いわゆる「主婦年金」と呼ばれているものですね。

現在の対象者は約641万人。その98%が女性です。2014年には932万人いましたから、この10年で約300万人も減っています。社会保険の適用拡大が進んで、自然に減り続けている制度なんです。

💬「じゃあなんで今、廃止の話が出てきたの?」

はい、ここが大事なポイントです。

2. なぜ今「廃止」の話が出てきたの?

理由は大きく2つあります。

  1. 「不公平だ」という声
    制度が作られた1985年当時は「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という片働き世帯が標準的でした。しかし今は共働きが主流。共働き夫婦や自営業の妻は自分で保険料を払っているのに、会社員の夫に扶養されている専業主婦だけは保険料ゼロで年金をもらえるのはおかしいのではないか、という意見が強まっています。
  2. 「130万円の壁が就業の邪魔をしている」という問題
    年収が130万円を超えると自分で社会保険に入らなければならず、手取りが減るため、働く時間を意図的に抑える方(就業調整)が多いのが現状です。人手不足が深刻な今の日本で、これは大きな課題になっています。

この2つの問題意識が重なって、見直しの議論が加速しているわけです。

3. それぞれの立場から第3号被保険者はどうとらえられている?

💬「実際に、誰がどんなことを言っているの?」

ニュースを見ていると、色々な意見があって混乱しますよね。誰がどんな立場で発言しているのか、表で整理してみました。

団体・立場 主張・見解 理由・背景
財務省 世帯単位から個人単位へ変えるべき 保険料を払っていない人が給付を受けるのは不公平だという制度見直しの立場。
連合(日本労働組合総連合会) 廃止すべき
※ただし支援策とセット
働く人の代表として「130万円の壁」が女性のキャリア形成を阻害していると指摘。育児や介護で働けない人への配慮や低所得者支援のセットを要求。
自民党・維新 縮小する方向で検討 「廃止決定」ではなく縮小。急な廃止は影響を受ける世帯からの反発(選挙への影響)があるため、慎重論が根強い。

4. 実際に「決まっていること」と「決まっていないこと」

ここを混同すると不必要に不安になってしまうので、きちんと分けてお伝えします。

状況 内容 時期・対応
❌ まだ
決まっていないこと
第3号制度そのものの「廃止」 2030年の次期年金改正での議論に持ち越し。
✅ すでに
決まっていること
社会保険の適用範囲の拡大
(賃金要件の撤廃、企業規模要件の段階的撤廃)
従業員数36~50人の企業は2027年10月から、従業員数21~35人の企業は
2029年10月から、従業員数11~20人の企業は2032年10月から、従業員数10人以下の企業は2035年10月から社会保険適用拡大の対象となります。

今起きているのは「今すぐ第3号を廃止する」という事態ではなく、「社会保険の適用範囲を広げることで、結果的に第3号に残る人を少なくしていく」という段階的な動きです。つまり、厚労省はいきなり動くのではなく、現実的に少しずつ進める路線を取っています。

5. 今すぐできる3つの確認

💬「じゃあ私は今、何を確認すればいいの?」

今後のニュースを正しく受け取れるように、ご自身の今の状況を確認しておきましょう。

  • チェック①
    あなたは今、第3号ですか?
    年収130万円未満で、配偶者の扶養に入っている方が対象です。パート収入がある方は、年収をしっかり把握しておきましょう。
  • チェック②
    週の労働時間は20時間以上ですか?
    2026年10月以降、週20時間以上働いている方(企業規模要件あり)は、収入にかかわらず社会保険加入の対象になります。勤務先に確認しておくといいでしょう。
  • チェック③
    配偶者の勤め先の規模は?
    現在は従業員51人以上の企業が対象ですが、従業員数36~50人の企業は2027年10月から、従業員数21~35人の企業は
    2029年10月から、従業員数11~20人の企業は2032年10月から、従業員数10人以下の企業は2035年10月から社会保険適用拡大の対象となります。

まとめ

今日お伝えしたことを整理します。

  • 第3号被保険者制度は、今すぐ廃止が決まったわけではありません。(2030年の財政検証まで持ち越されています。財政検証(5年ごと)を踏まえて議論される可能性が高いです。)
  • 守られるべき人もいます。
    年収の壁を意識して働く時間を抑えている人だけでなく、「育児・介護・病気で、本当に働けない人」もいます。この層への配慮なしに「不公平だから廃止」と進めることには、慎重になるべきという意見もあります。
  • ただ、縮小の方向へ舵を切っていることは事実です。
    今後、ご家庭の働き方と家計への影響を検討していく必要があります。

焦って今すぐ何かを変えなければいけない!という段階ではありません。確定情報が出たタイミングで、また詳しく解説しますので、まずは正しい情報を知ることから始めていきましょう。