【2028年法改正】65歳以上のパートは週10時間で雇用保険へ!3つの給付金を解説

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こんにちは。社労士みなみです。今回は、65歳以上、週10時間バイトで給付金が3つもらえるようになるというお話です。

65歳以降、年金だけでは不安だから働きたいけど、若い頃みたいにフルタイムで働くのは体力的にもう限界です、という方多いのではないでしょうか。週2日、3日くらいで少しだけ働くのじゃだめですか?とてもよくわかります。ご自身の健康を大事に考えるのは本当に大切なことですよね。

2028年10月から「週10時間」という時間がポイントとなってきます。

現在、週10時間から19時間働いている人は全国に約506万人もいます。給付金の対象外だった500万人以上の方々が新たに制度の枠組みに入ることになります。

65歳以上の方は当てはまる方多いのではないでしょうか。

実は今、国が色々とルールを大きく変えようとしています。2028年から何がどう変わるのか分かりにくい、短時間しか働けない人にも意味があるのか知りたい、今日は皆さんのそんな疑問にお答えします。

2028年10月の法改正!「週20時間」から「週10時間」の壁へ

さて、本題に入りましょう。老後のアルバイトあるいは老後のパートで、一体何がどう変わるのでしょうか?

これまでパートやアルバイトで働く場合、国の手厚いサポートを受けるためには1つの大きな壁がありました。それが「週20時間以上」という時間の条件です。

週20時間と言うと、1日4時間を週5日働くペース、あるいは1日7時間を週3日働くペースですよね。65歳を過ぎてから週5日、あるいは1日7時間出勤するのは正直しんどい。そう感じて働く時間を抑えていた方も多いはずです。そうした無理のないペースで、週10時間で働く短時間労働の方はこれまで国の手厚い制度の対象外でした。

しかし、2028年の10月1日から、この週20時間という壁が「週10時間」へと一気に下げられます。週10時間なら1日5時間を週に2回。これなら体力的に自信がない方も無理なく働けそうと思いませんか?

【クイズ】2028年10月の制度改正で注目されているのは?

週10時間が注目される本当の理由の前に、クイズです。2028年10月の制度改正で注目されているのは次のうちどれでしょう?

  • A:週10時間以上で厚生年金に加入
  • B:週10時間以上で雇用保険に加入
  • C:週10時間以上で健康保険に加入

答えは「B:週10時間以上で雇用保険に加入」です。

ここで、社会保険の厚生年金の加入や健康保険の加入はどうなるの?と思われる方いらっしゃると思います。その点については後半で情報を整理しています。

話は元に戻りますが、2028年10月からの新ルールで雇用保険の対象になります。ここで注意点ですが、週10時間働けば全員が給付金の対象になるわけではないということなんですね。

【2028年10月からの雇用保険加入要件】

  1. 1週間の所定労働時間が10時間以上であること
  2. 31日以上の雇用見込みがあること

こういった要件を満たせば雇用保険の対象となります。

最初のお題に戻りますが、この週10時間が注目される理由は、少しの労働時間でも国の手厚いセーフティネットに入れるからということになるんですね。

体力的にもう限界でフルタイムでは働けない、でも万が一の時に備えは欲しい。そんなシニア世代にとって、体力面の負担を抑えつつ万が一の安心を手に入れられることが大きな価値となります。

週10時間はまさに万が一の備えと健康を守るちょうどいいラインとなるのではないでしょうか。

週10時間働いて対象になる「3つの心強い給付金」

では、その手厚いセーフティネット、給付金とは具体的に何でしょうか?ここからは週10時間働いて雇用保険に入ると関係してくる、3つの心強いお金についてお話しします。

① 高年齢求職者給付金(失業給付)

1つ目は、仕事をやめて次の仕事を探している時にもらえるお金です。これを「高年齢求職者給付金」と言います。

65歳以降仕事を辞めて失業給付をもらえないと勘違いされている方多いんですが、65歳以上も失業給付の対象となります。65歳以上が退職した場合、分割ではなく一時金として一括で受け取れます。

もらえる金額は雇用保険に入っていた期間によって変わります。

  • 1年未満なら:30日分
  • 1年以上なら:50日分

例えばご自身の給付の基準となる金額が1日4,000円だったとしましょう。50日ならおよそ20万円が一時金としてもらえる計算になります。

手続きはハローワークで行います。手続きを行ってからおおよそ5週間後から6週間後に振り込まれますので、次の仕事が見つかるまでの生活を支えるクッションになりますよね。月給は大体15万円くらいが目安だとこれくらいの金額になります。

しかし、辞めれば誰でももらえるわけではありません。仕事を辞める前の1年間に雇用保険に入っていた期間が6ヶ月以上あることが条件となります。そして、働く意思があってハローワークで求職活動をしていることが条件です。

【よくある質問】65歳以降なら年金と失業給付を同時にもらえるのですか?
結論から言いますと、同時にもらえます。
65歳未満の人がもらう基本手当という失業給付があるんですけども、65歳未満であると年金がストップしてしまいます。65歳以上の場合、高年齢求職者給付金と年金は同時に受給することができます。

◆参考動画 64歳11か月で基本手当と老齢年金を同時受給できる?
【失業給付の額は高いがデメリットも知っておこう。

② 介護休業給付

続いて2つ目は、家族の介護で仕事を休まなければならない時に生活を支えるお金です。これを「介護休業給付」と言います。

社労士みなみ
社労士みなみ

私は最近、「93日間介護休業取りました!」という方に会いました。100名規模の会社で93日まるっと取れたそうです。介護休業というと取りにくいイメージ、使いにくい制度というイメージですが、その制度が使いやすい制度に変わってきているという印象を受けました。ですので、皆さんも是非この制度を知っておいてください。

一定条件を満たすと介護で休業中の生活を支えるお金が出ます。ご家族の介護で仕事を休まざる得ない時、給付金が支給されます。短時間労働、週10時間以上でも2028年10月からは条件を満たせばこの給付金の対象に入ります。

【介護休業給付の受給目安(93日間フルで取得した場合)】

  • 月収6万円の場合:約18万1,000円
  • 月収10万円の場合:約20万7,000円
  • 月収15万円の場合:約31万1,000円

※93日間というのは介護休業の1人あたりの上限の日数です。フルでもらえた場合の試算ということになります。

介護と仕事の両立は心身ともに大きな負担がかかります。少しでも経済的な支えがあるだけで焦らずに向き合えるようになります。

③ 教育訓練給付

3つ目は、学び直しや資格取得で使える給付金です。「教育訓練給付」と言います。

新しい知識やスキルを身につけたい時の力強い味方です。国が指定する講座を受講して修了すると、かかった費用の一部が戻ってきます。パソコン教室や語学、あるいは介護の資格など様々な講座が対象となっています。費用の20%が戻ってくるものから、専門的なものになれば最大で80%が戻ってくるケースがあります。

実はシニア世代の新しいチャレンジにぴったりの講座がたくさん用意されています。どんな講座があるかはインターネットの「教育訓練講座検索システム」で簡単に調べられます。こういった教育訓練給付を活用して、豊かなシニアライフの第一歩を踏み出してみるのもおすすめです。

手取りは減る?雇用保険料の計算

では、ここではよくある不安なんですが、「結局保険料が引かれて手取りが減るなら、払い損では?」という不安ありますよね。

結論から言うと、雇用保険に入れば毎月の手取りは確実に減ります。保険料が天引きされるからです。「え、じゃあやっぱり損じゃないか」と思うかもしれませんね。

雇用保険の保険料率は0.55%くらいと思っていただいて大丈夫です。スーパーやジムなど一般的なお仕事の場合は大体これぐらいです。お給料の1%にも満たない金額です。

計算は、お給料の額面に雇用保険料率をかけて、それが引かれる額ということになります。

  • 月5万円のお給料の場合: 5万円 × 0.55% = 約275円

週10時間働いて月に5万円のお給料をもらったとして、275円くらいということなんですね。令和8年度は1000分の5ということで0.5%となっていますが、大体これぐらいの金額と思っていただいて大丈夫です。

このコーヒー1杯分くらいの金額で、辞めた時のまとまった一時金や、介護休業給付だったり、学び直しの教育訓練給付金など、国からの手厚いサポートが受けられます。

【表で整理】雇用保険と社会保険の違い

ではですね、皆さん「週10時間以上働くと厚生年金や健康保険にも入らないといけなくなるの?」と思われるかもしれません。

2028年10月に変わるのは「雇用保険の週10時間以上」というところが大きく変わります。時間のボーダーだけで見ると、雇用保険は週10時間、厚生年金・健康保険は週20時間以上が対象となるということを覚えておいてください。

じゃあ、2028年10月1日からは雇用保険のみの加入になるのか?

こういった問いが湧いてくると思います。答えはイエスです。適用事業所に雇用される人が、1週間の所定労働時間が10時間以上で20時間未満、31日以上の雇用見込みがある。こういった場合は「雇用保険のみの加入」となります。

「じゃあ、週20時間以上働く場合、社会保険と雇用保険に加入することになりますか?」という質問なんですが、答えはイエスです。社会保険(厚生年金保険・健康保険)の要件を満たすとそうなります。

文章だけでは少しわかりにくい部分ですので、社会保険加入の要件も表で整理しましょう。

保険の種類 加入の要件(労働時間・その他)
雇用保険
(2028年10月以降)
・週の所定労働時間が10時間以上
・31日以上の雇用見込みがある
社会保険
(厚生年金・健康保険)
・週の所定労働時間が20時間以上
・学生ではない
・勤務先の従業員数が51人以上
(※2027年10月以降は36人以上)

今回のこの2028年10月からの週10時間以上で雇用保険の加入の対象になるという話ですが、万が一の備えが必要な人にとっては十分価値があり、払い損にはなりません。年金だけでは生活費が厳しく少しでも不安がある方、急に働けなくなった時の備えが絶対に必要という方、将来的に給付を受け取る可能性があるなら決して払い損にはなりません。

おわりに:時給だけを見てはいけない

最後にお伝えしたいことは、老後バイトは時給だけを見てはいけないということです。

これからの時代、時給だけを見て仕事を選ぶと判断を間違いやすくなります。国の制度をどう活用するかまで含めて考えることが最も重要です。今の働き方は体力的に無理がないだろうか。もし明日仕事に行けなくなったら生活はどうなるのか。是非この機会にご自身の働き方を1度見直してみてください。

給付金については、書籍『50代からのお金の新常識』(Amazonサイト)で50歳以上でもらえる給付金を紹介しています。最新版、知りたいことが全部分かる『定年前後のお金の超基本』(Amazonサイト)という本も出ます。表や図が盛りだくさんで分かりやすい会話形式となっています。難しい話でもすっと内容が入ってきますので、定年前後の方、是非手に取って読んでいただけると嬉しいです。

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