定年前後で600万円の差がつく8つの制度

定年前後に読むと得するコラム

退職前の準備とても大切です。退職金の受け取り方、申請のタイミング、失業保険の使い方など
ここを間違えると、気づかないうちに数十万円どころか、トータルで600万円近く差がつくケースもあります。

でも怖いのは、
ほとんどの人が「知らないまま退職してしまう」ということなんです。

そこで今回は、
60歳でも65歳でも共通して“絶対にやっておきたい準備”を先に全部お伝えします。

その上で、
60歳で辞める人、65歳前に辞める人、それぞれが得する制度も解説していきます。

まずは1つ目、
「3月31日に退職してはいけない理由」
ここからいきましょう。

第2章:3月31日は損?たった1日の魔法 〜退職日の決め方〜

さて、もしあなたがまだ退職届を出していないなら、ここからが一番聞いてほしいお話です。退職日をいつにするか。「キリよく3月31日で」と考えていませんか?

実は、その「1日」の違いが、あなたの手取りを20万円以上変えてしまうかもしれないのです。

退職金には、税金を安くするための「退職所得控除」という特別な枠があります。これは働いた年数(勤続年数)が長ければ長いほど有利になる仕組みです。

【例:38年間勤めた場合】

  • 3月31日に退職: 勤続年数は「38年」として計算
  • 4月1日に退職: たった1日長く在籍しただけで、勤続年数は「39年」としてカウント!

ませんか?」と聞いてみる価値は十分にあります。あなたの38年間の頑張りを、最後の一日まで無駄にしないでください。

第3章:退職金、どう受け取るのが正解?

次に悩むのが、退職金の「受け取りこの「プラス1年」の効果は絶大です。勤続20年を超えている場合、1年増えるごとに控除額が「70万円」も増えます。控除額が増えるということは、それだけ税金がかからない枠が広がるということ。結果として、手取り額が数万円、場合によっては20万円近く増える可能性があるのです。

会社に相談する余地があるなら、「退職日を1日ずらせ方」です。「まとめて一括(一時金)」でもらうか、「分割(年金)」でもらうか?

結論から申し上げますと、基本的には「一時金」としてまとめて受け取るのがおすすめです。

なぜなら、「退職所得控除」という強力な節税メリットが使えるのは、一時金で受け取った場合だけだからです。この枠内に収まれば、税金はかかりません。もし枠を超えても、超えた分の半分にしか税金がかからないという優遇措置があります。

一方で、これを「年金」として分割で受け取るとどうなるでしょうか。毎年受け取るお金として「雑所得」扱いになり、公的年金の収入と合算されて税金が計算されます。すると、所得税や住民税が高くなるだけでなく、国民健康保険料や介護保険料まで跳ね上がってしまうリスクがあるのです。「毎月振り込まれる安心感」は魅力的ですが、トータルの手取りで損をしてしまっては元も子もありません。

さらに、企業型DCやiDeCo(イデコ)をやっている方は要注意です。退職金と企業型DCやiDeCoの老齢給付金を「同じ年」に受け取ると、税金の計算上、合算されてしまい、控除枠をオーバーして税金が高くなることがあります。

それを解決するのが、「受け取りを1年だけずらす」という、魔法のような選択です。

「1年ずらし」の絶大な効果とは

「確定拠出年金の受け取りは、1年ずらした方が有利になることがある」。これは一体どういうことでしょうか?

実は、確定拠出年金(DC)には、「受け取った時期が翌年になれば、翌年の収入として計算される」という特徴があるのです。

これこそが、運命の分かれ道です。翌年に受け取ることにすれば、その年の退職所得はリセットされます。つまり、前年の退職金2000万円という大きな山とは切り離され、確定拠出年金の250万円単独で税額が計算されることになるのです。

結果として、同じ年にまとめて受け取るよりも、手元に残るお金が増える。つまり、節税になるのです。

なぜ「確定拠出年金(DC・iDeCo)」だけが特別なのか

「会社の退職金を翌年にもらったらどうなるの?」と疑問に思うかもしれません。
実は、会社の退職金(確定給付企業年金・DBなど)の場合は、たとえ会社からの支給が翌年になったとしても、税金の計算上は「退職した日」が基準になります。これでは、時期をずらす意味がありません。

しかし、確定拠出年金(DC)は違います。DCは、実際に受け取りの時期が来るまで金額が確定しないという性質があるため、「受け取ったその年の収入」として扱われるのです。このほんの少しのルールの隙間を知っているかどうか。それが、「知らないと損をする」分かれ目なのです。

【退職金から勝手に20%引かれる】絶対防ぐべき「たった1つの手続き」

3月31日の年度末に定年退職、または退職される方も多いと思います。
退職金を受け取る方、これだけは絶対に忘れないでください!

鉄則:退職所得の申告書は“退職前に提出”

【最適な提出タイミング】
ベストは「退職手続き時」です。退職の1〜2ヶ月前に会社から書類を受け取ったら、すぐ提出を!

遅くとも国税庁のルール通り、「退職金が支払われる前日」までには出さないと間に合いません。

なぜ提出タイミングがそんなに重要なのか?

⭕️ 提出した場合
  • 勤続年数に応じた「退職所得控除」が適用され、税負担が激減!
  • 控除の枠内におさまれば、なんと税金ゼロになることも。
  • 会社が正確に税引き計算をしてくれるので、原則確定申告も不要です。
❌ 提出しなかった場合

退職金総額から、問答無用で【一律20.42%】が引かれてしまいます。

  • 本来払わなくていいはずの税金まで引かれてしまう。
  • 払いすぎた税金を取り戻すために、後から自分で確定申告をするという大きな手間がかかる。

退職前はバタバタしますが、この書類の出し忘れは本当に痛手です。確実に提出しましょう!

焦りは禁物 定年後の失業給付 これ知らないとゼロ円に。

定年後、「よし、これからは自分のスキルで食べていくぞ!」と、個人事業主として独立を考えている方もいるでしょう。その意欲、本当に素晴らしいです。

でも、ちょっと待ってください。退職してすぐに、税務署へ「開業届」を出そうとしていませんか?
もし開業届を出してしまうと、制度上「失業状態」ではなくなってしまいます。つまり、雇用保険からもらえるはずの「失業手当(基本手当)」がもらえなくなってしまうのです。

失業手当は、あなたが長年保険料を払ってきた権利です。まずはハローワークに行き、求職活動の実績を作りながら失業手当を受け取る。そして、本当にその事業でやっていけるのか、じっくりと準備をする期間に充てるのが賢い選択です。約100万円を受け取れる可能性があります。

要注意!開業届を出して失業給付がもらえなくなる典型ケース
  • ① 退職後すぐに起業する
  • ② 求職活動をしていない
  • ③ 失業保険受給中に開業届を出す
  • ④ 待機期間中に開業する
  • ⑤ すでに自営業を開始している

退職のタイミングが64歳なのか、65歳なのか。ここでも年齢の区切りが重要になってきます。60歳代の再雇用の方で、「副業に備えてとりあえず開業届だした」というケースでも失業給付がもらえなくなることがあるので、要注意です。

学び直しという「隠しボーナス」

「すぐに次の仕事を決めるのは不安だ」「少しゆっくり考えたい」。そんなあなたにおすすめしたいのが、ハローワークの「公的職業訓練(ハロートレーニング)」です。

これは単にスキルを学ぶだけの場ではありません。驚くべきことに、失業手当を受け取っている期間中に訓練に通い始めると、訓練が終わるまで手当の支給期間が「延長」されるのです。
例えば、本来なら150日分しかもらえない手当が、訓練期間中はさらに長くもらえたりします。総額で100万円近く得をするケースもあるほどです。

学べる内容も多種多様です。パソコンやWebデザインだけでなく、造園、介護、ビル管理など。受講料は基本的に無料(テキスト代などは実費)です。
お金をもらいながら、新しい仲間と出会い、新しいスキルを身につける。定年後の人生の助走期間として、これほど恵まれた環境はありません。

60歳再雇用・継続雇用時に絶対に忘れないで!高年齢雇用継続給付金

最後に、少し上級者向けの「働き方の工夫」についてお話しします。

もしあなたが会社員として再雇用される場合、お給料が大きく下がることがありますよね。60歳時点の賃金に比べて75%未満に下がってしまった場合、「高年齢雇用継続給付金」という制度が使えます。雇用保険から、賃金の最大10%が支給される仕組みです。会社が手続きを忘れていることもあるので、「これ、使えますか?」と自分から聞いてみてください。

この制度は今後縮小されていく予定ですが、制度があるうちは絶対に使いたい制度です。

男女とも70歳までは「特別支給の老齢厚生年金」のチャンスがある

年金についても、知っておくべきポイントがあります。まず「特別支給の老齢厚生年金」。これは報酬比例部分を60代前半から受け取れる制度ですが、対象となる人は男性が昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前生まれの人。請求を忘れている場合は、5年以内なら遡って請求できます。

特別支給の老齢厚生年金 請求手続きステップ
ステップ 時期・タイミング 発生すること・結果
STEP 1 受給資格が発生する3カ月前 「年金請求書」が届く。
【手続した場合】必要事項を記入し返送。約2カ月後に受給開始。
【していない場合】STEP 3へ
STEP 2 65歳になる3カ月前 2回目の「年金請求書」が届く。
【手続した場合】請求書を返送。このとき、「もらい忘れていた年金(特別支給の老齢厚生年金)の全額」を、一括でさかのぼって受け取る手続きをする。
【しない場合】STEP 3へ
STEP 3 未受給(時効の5年以内) 最寄りの年金事務所で受給資格の有無を確認する。
※請求の時効は5年のため注意!
STEP 4 受給資格の確認後 「年金請求書」を探して必要事項を記入し、請求手続きをする。
※紛失しても年金事務所で再発行可能。
STEP 5 請求手続き完了後 約2カ月後に「特別支給の老齢厚生年金」が支払われる。

高年齢求職者給付金 65歳以降退職で忘れないで!

この高年齢求職者給付金は、何度ももらえるというのが特徴です。65歳以上で退職する人はぜひ知っておいてください。
2017年に雇用保険の年齢制限が撤廃され、6ヶ月以上の雇用保険加入期間があれば、何度でも高年齢求職者給付金を受給できるようになりました。

この高年齢求職者給付金の受給資格は、以下のようになっています。

  • 失業した日(退職日)直前の1年間に、雇用保険に加入していた期間が通算6ヶ月以上あること
  • 65歳以上で失業中であり、働く意思と能力があること

大体いくらもらえるのか気になりますよね。

しかも、65歳以降は失業給付と年金の同時受給が可能なんです。
高年齢求職者給付金を一括受給しても、年金がストップすることはありません。

まとめ

大切なのは、「知っているか、知らないか」の差があるということに気づくことです。そして、「私の場合はどうなりますか?」と、役所や専門家に質問する勇気を持つことです。知識を味方につけて行動することこそが、定年前後の後悔をなくす一番の近道なのです。

 

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